4.30.2013

語学学校についてワタシが話そう

予想以上に長引いたロックアウトが政府の介入によりようやく終了した。自宅待機型春休み中にすっかり語学学校が恋しくなっていたので、語学学校について書いてみようと思う。デンマークの語学学校のシステムを説明するのに一番てっとり早いのは下記の表だろう。元のデータが見ずらかったので書き直し、外国人向けデンマ語学習教材についていたCEFRとのレベル比較も加筆してみた(Wikiにデンマ語版がなかっただけで、勿論B1以上もあるだろう。ところでNHKって良い仕事するな)。


http://www.kbh-sprogcenter.dk/laer_dansk/undervisningsmodellen

一番右のCERFは置いておいて、語学学校は Danskuddannelse の1、2、3に分けられ、それぞれ最終試験の Prøve i Dansk を筆記、口頭共受かって語学学校終了となる(らしい)。少し歪んだ階段箪笥と言った感じか。ワタシの理解が正しければDanskuddannelse 1(以下D1)はアルファベットから始まるレベル。母国で十分な教育を受けられなかったとか、全く違うアルファベットを使っていたとか。てっとり早く言うと難民枠。D2は会話中心と 聞くが、D3との違いが良くわからない。D3は母国で高等教育を終えたヒト対象とあり、永住権の申請に必要なのがPrøve i Dansk3(以下PD3)なのだから、それよりは少し易しめなのだろう。語学学校の説明はココ。 モジュールを終え、次のモジュールに進む為のテストがモジュールテストで、そのレベルにあった試験方法で判定されるらしい(とあるモジュールテストはリスニング、ライティング、スピーキングと揃っているのが、別のレベルではライティングのみとか)。ちなみにモジュールが上に進むにつれて欄が長くなっているのは、ワタシのミスではなく、より時間がかかるという意味(だろう。餅は餅屋。語学学校の説明はココ)。PD3を好成績で合格すれば、大学準備コースに進めるらしい。

前置きが長くなったが、語学学校が始まる直前のクリスマス休暇中に夏に購入するも放置していたテキスト丸々2冊とやり残していた1冊を何とか詰め込んだお陰か、レベルチェックの結果、何とかD3のモジュール3からワタシの語学学校生活が始まった(それもこれも食事の準備の必要もなく、上げ膳据え膳で食う、寝る、学ぶと自由にさせてくれたお義母サマのお陰です。ありがとうございます)。このデンマ語能力が測られるレベルチェックだが、デンマークに1年間の高校交換留学した人や、高校数学教師としてスウェーデンに3年働いていた人でD3モジュール4という例を聞いた。ちなみに、学校にもよると思うがこのクラスの呼び方は「D3モジュール4」を「D3M4」と略したり、モジュール4が4.1と4.2に分かれていたりする。

ワタシのクラスメートの平均年齢はワタシが押し上げていても20代半ばである。ほとんどが学校を終えたばかりで、頭がお勉強モードのままというのもあるだろう、割とレスポンスが早く、授業を一緒に受けていて気持ちが良い。クラスには同じくモジュール3から始めるも、クラスに付いて行けず苦しそうにしていたクラスメートがいたが、2人共モジュールを下げて、新しいクラスでのびのび学んでいる。 対局的にいっぱい、いっぱいなのは割と非ヨーロピアン。小さいお子さんが2人もいるロシアの貴婦人(旦那さんもロシア人)は「デンマ語なんて、この授業でしか学ぶ時間が無いわよ~」と言いつつもクラスに付いて行っているツワモノ だ。ある意味凄い。

そしてこの語学学校は条件を満たしていたら3年間無料だ(しかし、3年以内に最終試験に合格 しないと、結構なお値段を自腹で払ってでも合格しなければいけないのだ)。クラスメートの中には語学学校に通えるのが今年いっぱいという生徒もいて志気が高い。 先生も何とか11月のPD3のテストに間に合うようにとビシバシと容赦ない(愛だぜ、愛、愛)。そう、これらPD1、PD2、PD3の最終試験は年に2度しか行われないのだ。長過ぎたロックアウト。5月に筆記、6月に口頭試験を受ける筈だったモジュール5の学生が気の毒で仕方がない。ワタシ達も4月にモジュールテストを受けるハズだったのだが、来月上旬に延期された。

とにかくクラスメートには恵まれている。やっぱり出来るクラスなんだと気付かされたのは、他のクラスから生徒が編入して来たから。「前のクラスも悪くなかったのだけど、何となくリラックスし過ぎていて・・・。もう少しピリっとした空気で学びたいのよね~。」とは、彼女の弁。3人入って来たが、そのうち既に2人はモジュール3のテストをパスしていた。何故?それもこれもワタシ達生徒にテストに落ちるなとのプレッシャーなのか・・・。語学学校について一通り書いてはみたがクラス別けのシステムはよくわからない。まぁ、ようやくわかった頃には語学学校を終えているんだろう。

4.23.2013

語彙力5歳

嗚呼、本屋が遠い。物理的な距離ではなくて心理的に。そもそも本が高くて、高くて(それにロクに読めもしない紙にお金を払うのが悔しくて)。いや、これでもデンマークでは5年程前から大型スーパーで本が売られるようになり、本は安くなって来ているらしい(それでもロクに読めもしない紙にお金を払うのが悔しくて、悔しくて)

物価の高い北欧ではあるが、こちらでは型落ち(?)でたまに版が古くなりそうな本が破格で買えるのだ。しかし何故か本屋に行く度にそれらに出会ってしまった結果、毎回買い求めている感があって「本屋に行く=何か買ってしまう」という数式が出来てしまい、行かなければ買わないだろうという、新・財布の紐の締め方というか、そこまでして締めなくてもというか、何とも悲しい本屋との関係(まぁ、最近は会計カウンターでわざとクリスマスビールが一本いくらだったかを思い出して、罪悪感を払拭するという技を覚えた。人間とは進化する生き物よのう)。


まぁ、そんな型落ち本で、「はじめての子供用辞書」なるものに出会ったのは去年の秋ぐらい。対象年齢が5歳から8歳と謳われている本を3周程したけど、ボキャブラ、ハンパなかったわ。何て言うか、TOEIC対策本のカバーではターゲットスコアを高く揚げておいて、中身は実はそうでもなかったの逆バージョン。わざと対象年齢を低くしておいて、保護者に危機感を与え、買わせようという作戦か?いや、多分5歳児のアタマの中はワンダーランドで、それこそクレヨンがぎっしり詰まっていて、子どもにしか見えない何かで出来ているとか、大人がなくしてしまった何かが大切にしまわれているというか。とにかく凄いな、5歳児。

もっと弁解させて貰えば、日本に生息していない動植物は全滅だろうなとか、子供の遊び関係は無理だなとか、予測はしていた。そもそもヒトの持つボキャブラなどは文化・社会的背景によって違うだろうし、もっと言えば育ってきた家庭環境にすら左右されるからだ(と、ここで猫飼いでなかったワタシが「嬉しくてノドを鳴らす」という単語を知らなかったコトをようやくカミングアウト出来る訳だが)。 違いを薀蓄述べていてもこちらはオトナ。今まで培って来た知恵とテクニックでちゃっちゃとクリアして次のステージ(せめて小学卒業くらい)に進まねばならぬオトナ故の事情がある。幸い動詞の3割は既知、次の3割も曖昧だけど、知らなくはない。残りが未知。形容詞もそこそこ覚えていたのでターゲットは名詞となった(ってか、この辞書、ほとんどが名詞)。この一冊で約2,700語カバー。5歳児(しつこい?)ボキャブラ、なんとかカバー。このふわふわと集まっていた語彙一式をムギューっと押し詰めて、脳の回転速度を下げないで(ってか、上がって!)、働く容量も増えていたらいいな。

英語と似ているとは言っても分布体系が全く異なる。顕著なのは高くそびえるSの壁。そう、デンマ語はドSのコトバ。


5歳児ワンダーランドの内訳は以下。正直スマートフォンに辞書が入っているワタシは5歳児でなくて良かったとすら思うの。

《動物》ヒヒ、《鳥》アオガラ、小児湿疹、《植物》黄花節分草、《植物》ヒョウタン、《動物》アナグマ、花綱、《昆虫》マルハナバチ、クサリヘビ、《イスラム教》〔礼拝をつかさどる〕指導者、小型のそり、投げ縄、《植物》カラマツ(材)、《鳥》シジュウカラ、《動物》テン。テンって以外と可愛い。《料理》レムラード(ソース)に至っては、結構な物をお召し上がりなのですねって感じだ(いや、ケチャップと同じ容器に入ってるのだが)。侮れないな、5歳児。

4.16.2013

プラマイゼロ

日本を離れ、早9ヵ月。ワタシの日本語が既にヤバい。いや、ワタシの日本語の拙さなど、このブログが十分に立証しているのだが、これは文章を書くのが苦手だからだとばかり思っていたが、そうではなかったらしい。

話を遡る事1ヵ月。3月のとある週末に欧州に住む日本の友人が遊びに来てくれた。 子供かっ?と突っ込みたくなるほどこの日を指折り数えて待っていたのは、日本人に会うのが久しぶりだったから。大使館の受付の方との会話を除き、マンツーマンでネイティブと日本語を話すなんて、渡欧してから初めてのことだった。今までも日本人の少ない地域に住んでいたコトはあっても、全く話さなかったのはせいぜい1,2か月ではなかっただろうか。

5年ぶりに帰国した時も挙動不審まではいかなかった(と願いたい)が、会話のキャッチボールが成り立たなかった残念な経験がある。例えるなら投げられたボールを取り損ねて、その辺に転がっているボールをワタワタとあわてて捕ってようやく投げるというか。敢えて説明するなら、無意識に出て来る英語をひっこめつつ、かと言って日本語が出てこない間に発せられそうになる何とも表記しがたい「グゥヌウェ」を抑えようと無言で四苦八苦しつつ、日本語を探す感じ。当然相手の方にこちらの不自然な顔の変化に気付かれてしまい、二人の間に流れる微妙な空気。嗚呼、日本人同士の日本語での意思疎通なのにと、情けないどころか自分の存在を消してしまいたかったあの数秒。二度と繰り返したくない(ってか、もう「グゥヌウェ」が完成するくらい何度もやらかしている訳だけど)。

しかし8ヵ月も話さないコトなんて今までなかったので多分話せなくなっているだろうなぁと思い、事前に日本語の本など読んで本番に備えていたつもりだったが、まさかこんなに話せなくなっていたなんて思ってもみなかった。

まず単語が出てこない。「あー、アレ、何て言ったっけ」と、会話がスムーズに進まない。そして文末まで待てない。友人が「~なんて、思わないんですけどね。」とか、変化球を投げている訳ではないのだが、とにかく脳が最後まで頑張ってくれない。キミにデンマ人化を頼んだ記憶はないのだが、まさか自分がSOV文型に泣かされるとは思ってもみなかった。そして、お決まりの脳内言語間移動。普段のデン⇔英に英⇔日が加わっただけで、こんなに辛いとは。しかもこちらに来るまでは英⇔日の方が経験豊富だったのに。反射神経だけは良い方だと思っていたのに。きぃぃぃ。


最近、家族間の会話は発言出来なくても何となく流れにはついて行けるとか、道行く人々の会話が少し拾えるようになって来たとか、デンマ語の上達ぶりに自惚 れていたのだが、そのデンマ語発達はその他の言語の後退によって成り立っていることを身を以て体験した渡欧9ヵ月目。春の日差しが眩しい。

4.09.2013

我が家のスポンジ

おお、この脳内容量確保用ブログとしてデンマークにあること、こちらに来てから考えていたこと等を吐き出しているブログポストも今回で50を数えた。お陰様で軽くなった頭ではくだらないアイディアが浮かんでは消えて行き、たまに情報通過過程でネットにひっかかったネタが3,4常時調理され、新しいネタが入り込んだらそれが最後、古いアイディアは完成度に関わらず自動更新によってワタシの手を離れて行く。

嗚呼、こんなワタシが吐き出すコトなど、例えば食器洗い洗浄機でプラスチックのタッパーを洗う時には水力で吹き飛んでしまわないよう、設置すべきだとか。芽キャベツだけは強力で、うっかりお皿に残っていたまま設置しようものなら、まぁ大変。数時間後にはカピカピに、しかし色鮮やかに密着したお皿とご対面することになるとか。まず、トリビアにすらならない(ME、新居の洗濯機おめでとう)。

こんなくだらないブログなのに訪れて下さってありがとうございます。という訳で、普段のお礼を兼ねて、前回のお約束通り我が家の彼こと北欧男子について書こう。というか、家事分担について。

語学学校が始まるまでの半年間は、ゴミ出しは彼の仕事。裁縫、炊事、洗濯、掃除等と、しつけ以外のさしすせそはビザ下り待ちのワタシの担当だった。しかし、学校が始まってから徐々に彼が活躍する場面が増えてきた。 何のことはない、宿題こそ少ないけれど学校に拘束される時間があることには変わらず、段々と口数が少なくなっていくワタシから何等かのシグナルが発せられたらしい。彼がそれをキャッチして行動に出始めたからである。ワタシ達は全くというほど、まずケンカをしないが、この要因としては以下が挙げられる。

・根本的な価値観がほぼ同じであること。
・それ以上に彼の精神年齢が高いこと。
・そして彼のアタマが良いこと。

彼を見ていると「アタマの良いヒトとはこういうヒトを言うのか!」と、関心することがしばしある。オンとオフの切換や、フローまでの持って行き方。そして特筆すべきは彼の危険回避能力の高さだろうか。上手いくらいにここというポイントで救いの手を差し伸べてくるのである。夕食は一緒に作る事が多いのだが、手順とかもわりとすんなり覚えてくれる。そして、我が家では作り手が変わっても、食卓に上る献立はあまり変わらない(おっと、レパートリーが少ないのはここだけの秘密だ)。あと丸く掃除機をかけるワタシに対し、彼は隅々までかける。パンケーキも彼が作る方が美味しい。

まるでスポンジが水を吸うようにぐんぐんと家事を学んでいる彼。夕食を作り終えた時には片付いているという状態まであと一歩だが、そんな彼が圧力鍋を操る日も遠くはない筈。 楽しみだな。

 イースター休暇で出されたケーキ。実はこの他にケーキはもう一つあった。どれだけケーキ好きなんだか。

4.02.2013

プラマイ 5:1

結婚して以来、抱き続けて来た疑問がある。かなりくだらないのだが、「妻はスキンケアをいつ行うべきか?」というものだ。世の中の奥様方はパック姿を旦那様にさらしてらっしゃるのか、旦那様のカラスの業推にも負けずにパパっと済ませるのか。それとも旦那様が出勤されてから至福の時を楽しむのか?いずれにせよ早く解決策を見い出さないと、シワが出来そうで怖い。

スキンケア以外で結婚してから出来なくなったコトに、本を読めなくなったコトが挙げられる。金銭的余裕云々の問題ではなく、ぶっ通しで読み抜く時間が持てなくなったからだ。ご飯を適当に済ませ、明け方までウツラウツラページをめくることがどんなに贅沢なコトだったことか!このままもっとつまらない人間になってしまうのは、シワが出来るよりも怖い。

そんなワタシを察してか、とある週末、彼が家を空けてくれた。むふふとベッドに本を持ち込み快楽を貪るワタシ。移住準備で読めなくなっていた本の続きを追うが、何だか内容があまり喜ばしくない。せっかくの一人の時間なのに、もう本の選択を誤ったとしか思えない。思いっきり掻い摘んで書くと、

・そもそも人間はプラスよりマイナスに気付きやすい。
・そしてカップル間でのプラスマイナスは5:1だ。プラマイゼロなど、長期的な関係を築きたければ考えないコトだ。

端折り過ぎて何言ってるの?って感じだが、例えば夫婦同士では相手がしてくれたことのプラスより、してくれなかったことやマイナスとして現れたことの方が気付きやすい。そして、何か1つのマイナス(失敗等)を回復するためには最低プラス事項を5つをしなければいけないのだ。何故格言に「他人を非難する事なかれ」的なものが多いのか、何故(何かネガティブなコトをされた)相手はそのことについてネチネチ言うのかがようやくわかった気がする。お皿洗いを1回忘れたら、そのマイナスを相殺するために必要な回数が最低5回だなんて、なんて罰ゲーム?とも思ったのだが、そんなマイナスばかり気づきやすい関係の中で、離婚割合が半分だなんて、みんな頑張ってるのね?と思ってしまうワタシは根本的な所で何かが抜けているんだろう。ちなみに(地域によって差があるのだろうが)この日本語での「ネジが足りていない」は英、独、デンでも「ネジが緩い」で通じる。素敵だ。

っていうか、このブログポストは、そんなプラマイ 5:1を全く気付かせることなく結婚生活を送らせてくれている彼について少し書こうかと思ったのだけど、ご飯の用意が出来たのか、彼が呼んでいるので、また次回。

イースター限定のビール。今日も平和だ。