日本でデンマーク語を学ぶ(書籍編)

日本でデンマーク語のテキストを入手しようとした場合、店頭ではマイナーな言語として その他の外国語コーナーに1,2冊申し訳なさそうに置いてある程度ではないだろうか?ワタシはどちらかというと形から入りたいのであれこれ試したが、諸事情で図書館も頼れず中身をチェック出来ず購入せざるを得ない状況も方の為にサラっと試したテキストの感想を残しておきたい。

まずはこれだけデンマーク語 (CD BOOK) ISBN4-87731-311-7 本体1,500円+税 荒川明久 著 国際語学社 2006年6月 発行

 「いちばん最初に始める参考書」と銘打っている、CDがついて1,500円とはデンマーク語の響きに慣れるにはお得ねっていう本です。参考書っていうより単語帳って感じでしたが。 これは様々な分野をカバーされた方が書かれた本です。何でこんな意地悪な紹介をしてしまったかというと、デンマーク語表記に統一性がなかったから。 北欧語のアルファベットにはåというaの上に〇がついた文字があるのだが、å の代わりにaaと示されることもある(デンマーク語がインストールされていないコンピュータでメールを打つ時など、aaで代用)。その辺の説明が一切ない。
表記例
P. 92 Må jeg få (et bykort / en brochure )?
P. 93  Kan jeg faa din adress, så jeg kan sende dig (billeder)?

この本の巻末には日本語-デンマーク語の単語一覧/インデックスがない。そして動詞と助動詞の変化表(P.47)は単語とカタカナが小奇麗に収まっているだけで、日本語の意味も表記されていない。第二外国語でドイツ語を学ばれた方にはピンとくるかもしれないが、意味くらい載せてくれても良いのでは?ちなみにこれらの助動詞は既出ではない。学習者に表から規則性を導かせる方法ですか?皆さん大人ですね。

そして発音について。一概に諸外国語の発音をカタカナで表記するのには限界があり、更に発音が難しいとされるデンマーク語を教えられている方々は常に頭を悩まされているかと思う。が、懸命にもふられたルビも読むのは拷問に近い(ところで、このカタカナと音声とのズレを感じてるのはワタシだけ?)。

割と頻繁に頭をひねらせて首が痛くなった頃文法等の説明がある構文編が終わり、実用編が待っているのだが、自分はまず使わないなと思った例文がゴロゴロ。いや、聡明な学習者はこれを元に構造を理解するのだろう。ワタシには無理だ・・・。
P. 102 本日のレートを教えて下さい。 Hvad er valutakursen i dag? 
   ← どこか両替所ではないところで両替するのでしょうか?
P. 101 今、1ドルは何クローナですか。 Hvor mange kroner er en amerikansk dollar nu?
   ← だから、レートの一覧はわりと目立つところに表示されていると思うのですが。
P. 102 Må jeg få regningen? 計算書をもらえますか。   
   ← 普通レート、手数料が書かれてた紙切れと共に両替されたクローネが渡されると思うけど。ヤミ両替ですか?

総括すると何だか1,500円が本当に安いのかわからなくなる、まず参考にはしない「参考書」です。 旅行前の耳慣らし代としては妥当かもしれないが、これが一番最初の参考書だとくじけてしまうかも。


ゼロから話せるデンマーク語 ISBN4-384-05453-X 本体2,400円+税 荒川明久 著 三修社 2006年11月 発行

この本は同社2000年発行語学王 デンマーク語(ISBN-13: 978-4384018110)のタイトルとカバーを変えただけの代物で、笑っちゃうくらい全てが同じ。ネットで購入される方はご注意を。まえがきも全文そのまま引用で「それでは皆さん、これから『語学王』丸に乗ってデンマーク語の大海原へ船出することにしましょう!」って三修社さん、そのくらい直したら? そうこう言っても、やはり大手(?)2色刷りでテキストが見やすい。今まで目について仕方なかったカタカナルビが見えにくくなっている。 ただ一章ごとのダイアローグと文法の説明が分けられているので本(もしくはCD)に沿って進めていくとうっかり基礎が固まらないうちに進んでしまうのが面倒といえば面倒。 前述のまずはこれだけデンマーク語の著者の本なので、発音例文も大体同じ。 これを購入したら「まずは」は購入する意味はあまりないでしょう。


ニューエクスプレス デンマーク語《CD付》  ISBN978-4-560-08564-6 本体2,800円+税 三村竜之 著 白水社 2011年5月 発行

良いです。何が?って、ユニットに出てく単語を読んでくれるんですよ!(そもそもそれがないのが主流ってのがおかしいのだが)ワタシは前述の ゼロから話せるデンマーク語まずはこれだけデンマーク語をやり終えたばかりだったので、とりわけそう感じた。 CDの吹き替えスピードが遅く、Lektion16になってからいきなり早くなるのくらいしか気になるところがない。外国語は白水社!を思い出させてくれる、キチンと教えて貰えるテキストです。



デンマーク語のしくみ ISBN978-4-560-08511-0 本体1,800円+税 鈴木雅子 著 白水社 2009年7月 発行

 
付属のCDが小さくて、そこに関心が行きがちですが、この本は良い。かゆいところに手が届くではなくて、いままで溜まっていたモヤモヤを解消させてくれる本だ。 デンマーク語の at には英語のthat (I think that…)のように文をつなぐ時に用いられるのだが、動詞の一覧を覚える際には to think が at tenke と示され、それぞれ読み方が違う。前者(that)が「ア」、もしくは「アッ」、後者が「オ」。 P.96の【sで終わる動詞があります】でさらっと触れて説明されてますが、何気ない優しさを感じる。小さい子が「おかあさぁぁん」と母親の元へ戻って行くような、デンマーク語学習に疲れたら読む本、的な。

特筆すべきはP.127の【大きな数字も】にある50、60、70、80、90の説明。 
20はtyveで10 ti の複数形。
30はtrediveでtreとtyveがくっついたもの。 
40はfyrreでfire tyve(4×10の複数形)。
50はhalvtredsでhalvtredje sinde tyve の略。2.5×20。 
60はtresでtre sinde tyveの略。3×20。 
70はhalvfjerdsで3.5×20。 
80はfirsで4×20。
90はhalvfemsで4.5×20。 これら最後のsはsinde tyveの略。

二桁の数字を一の位から読むのはデンマーク語に限った事ではないけれど、ここの件はノルウェー語にもドイツ語にもない。きちんとデンマーク語の先生に教えて貰っているなと嬉しくなる。鈴木先生、文法本も出して下さい。


自習デンマーク語文法 ISBN4-475-01765-3 本体3,300円+税 山野辺五十鈴 編著 大学書林 1986年5月 発行

第3章副詞 単語とその用例が素晴らしい。それと第4章動詞と助動詞にある不規則動詞の変化表。現在形、過去形、過去分詞の変化形がi-e-e、i-a-u、æ-a-u、y-ø-yを示してくれるなんて、なんて親切! 基本的にCDがつかない本は買わないのだけど、この本は良いです。 

現代デンマーク語入門 ISBN4-475-01764-5 本体4,200円+税 岡田令子 菅原邦城 著 大学書林 1984年11月 発行 

赤いバックに白のライン。ザ・デンマーク語って感じです。時期をほぼ同じくして出版されたこの2冊の文法本に、大学書林の熱意を感じずにはいられない。

デンマーク語慣用表現小辞典 ISBN4-475-01156-6 本体4,000円+税 鈴木雅子・新谷俊裕 編著  大学書林 2003年5月 発行


 
今のところワタシのデンマーク語能力が低すぎて出番がまだないが、いつの日か必ず・・・。


尻すぼみとなったこれらは、確かデンマークに越して来た2012年の夏にまとめたもので、半年経って振り返っても我ながらひどい。出版業界の事情を無視して知らず知らずのうちにドイツ語の参考書と比べてしまっていたのだろう。

学習期間が一年未満のワタシが言うのもなんだ(いや、無知だからこそ言えるのかもしれない)が、発音を除けば、デンマーク語の基礎はそれほど難しくない。ワタシが薦めるのは白水社から出ている ニューエクスプレス デンマーク語と、デンマーク語のしくみ。文法を理解したいのなら自習デンマーク語文法も。勝手に親近感を覚えている鈴木雅子氏の 旅の指さし会話帳31デンマークもデンマーク旅行には欠かせない一冊だ。

0 件のコメント:

コメントを投稿