2.25.2013

運転免許証二重所得(其の後)

年明けから歩んできた運転免許証の二重所持への道。途中コミューン職員による強力な洗礼を受けつつも3度もコミューンに足を運んだ甲斐あってか、先週日本の免許証が郵送にて返却され、先日ようやくこちらの免許証も届いた(大使館の皆様、その節は誠にありがとうございました)。こちらの免許の有効期限は15年。運転するしないにしても顔写真付の身分証明書に変わりはない。ありがたいことである。

申請してから受け取るまでの所要時間は6週間。以外と早かった。はなから期待せず、最低限のレベルで物事を予測し、それ以上の成果が上がった時に実感する「幸せ」。デンマーク流である。


「あ、小さい」と思ってしまったのはこちらの運転免許証が送られて来た封筒。日本の官製はがきより少し小さい。よく紛失しなかったなと感心しつつ目に留まったのはBの文字。Bってプライオリティー(翌日配達)ではなくてエコノミー(2,3日)のB。手数料を払っているのだからせめて書留くらいにはして欲しかった(って、期待してなかったけどさ)。

2.19.2013

慣れない

もっと寒い所に住んでいたコトがあるし、もっと高緯度に住んでいたコトもあるし、雪もばっちこいだからと、割とデンマークへの移住も深く考えず来てしまった。そして暖かい家族に支えられ、のほほんと暮らしていたらあっと言う間に半年が過ぎた。カルチャーショックが件の菊ぐらいで、ここまで来てしまったのは、ヨーロッパで暮らしていた下地があったからだが、敢えて突き詰めるなら社会との接点がなかったからという一言に尽きる。 語学学校が始まるまでの冬前半は外に出る必要もなく、始まってからも早起きを強制させられている訳でもないので、相変わらずユルい生活を送らせて貰っている。これが持ち家で雪かき必須とか、朝早くから家を出る必要があったのなら話は変わっていた筈だ。

そんな生温い日々の中、こちらのメディアにも親しまず、情報に疎い生活を送っていても、こちらでの夢を見るようになった。英語圏でも約半年で、現地の夢を見るようになったので、時間的には差はないのだが、対勉強量で比較すると喜んで良いのか分からない。まぁ、ワタシの夢の中での登場人物は一切言葉を発せず、意思疎通はテレパシーで行っているようなので、潜在意識でのワタシのデンマ語レベルは限りなく低いことには変わりないだろうが、脳も変化に対応してくれているようなのがちょっと嬉しかった。これまでのビザ等あらゆる手続きを含めても、一番辛かった経験が自転車での坂登りというくらいだから、デンマークでの暮らしもあながち悪くはないと思うし、悪いなと思いつつも頂いたプレゼントを交換してしまうので、それなりに適応しているのかもしれないが、それでも慣れないコトはある。

例えば住所。 近くだからと言ってストリート名を番地で分けるだけで、同じストリート名が幾つもあるのには慣れない。イメージ的には「非」という漢字の右編の縦線がメインストリートで、小脇に走っている横線がサブストリート。そのサブストリートが1-20、21-40、41-60と分かれている感じ。次のストリートの標識が見えないほど離れている距離でこれをやられると、結構凹む。学習能力がないので当然何度か泣かされた。

そして自転車。ドイツを離れてしばらくしても何故か全力で漕いでしまう癖はなかなか直らず恥ずかしい思いをしていたのだが、こちらでは自転車専用通路の中でも大人しく右側を走っていればサイクルファナティックに野次を飛ばされることもないので、自分のペースで走っている(のはうっかり左側を走ろうものなら罵倒されるから。逆走した日には何が待っているのだろう?)。そしてペダル式ブレーキにも手信号にも慣れたが、信号待ち時等に右側に重心をかけて待ち、左足から漕ぎ出すのが出来ない。これが自動車で発進が出来なければ田舎道ででも練習しようとなるのだろうが、いかんせん自転車。なかなか癖が抜けない。夏までには・・・。

あとはケーキ類の甘い物。 コーヒーなしでは決して流し込めない。もはや糖分の塊としか思えないのは何故だろう。ここまで来ると慣れないというより相容れないと言った方が近い。



先日の来客時に用意した物。夕方4時頃にお腹に収めたらその日はもう何も入らなかった。ちなみにアイシングが取れているのはベーカリーから直帰出来ず、ワタシがあちこち連れまわしたから(計算通り、取れてくれた)。ショーケースの向こう側のケーキは4割増くらい美味しく見える。

2.12.2013

薔薇と菊と日本人

「お義父さんはお花をくれなかった」、「お義父さんはお花をくれなかった」、「お義父さんはお花をくれなかった」というお義母サマの長年による(小言)英才教育により、義妹は婚約者にお花を求めるように育ち、彼は女には花が必要なのだということを何となくは理解するようになった。(義父の名誉の為に敢えて書かないが、そう言われても仕方ないかな?と思えてしまう回数なのだ。嗚呼、名誉挽回ならず。お義父さん、残念。)

結婚してから生花が切れたことはないというのはさすがに誇張し過ぎだが、それでもお花をプレゼントしてくれることは多いと思う。とは言っても贈られるのは日本のようにフラワーショップでアレンジされた繊細で美しい花束には程遠く、スーパーの一角に売られているワンコインで買えそうな商品だ(決して文句をつけている訳ではなくて、日本のように様々な種類が取り扱われている訳ではないけれど、花との距離が近いというか、割と手軽に買える)。「どんな花が好きなの?」と聞かれてもスーパーでワタシの好きなトルコ桔梗は見かけない。植物名にも疎いので適当に薔薇と答えたワタシを待っていたのは切られただけのフレッシュな薔薇の束。文字通り、旨い話には棘がある事を身を以て知った新婚当初であった。

前置きが長くなったが、先日ある出来事があった。彼が買って来てくれた花が菊だったのである。

長年あっちへフラフラ、こっちへフラフラと自由(しかし残念)に育ち、参列も過去10年はしていないワタシですら衝撃が走った。こんなに残念でも日本人だったのだ。その場は笑顔で取り繕い、後にこっそりググったが、彼には何も話していない。彼の好きな花は菊なのである(そして花の持ちが良いので実はワタシも好きなのだ)。

いつか機会があれば伝えようかと思うが、来日時のワタシの家族へのプレゼントが菊の花でないことをこっそり祈るのみである。



 こんな所にも、菊。
しかし、この記事を書く直前まで「菊と刀 」がハル・ライシャワーによるものと誤って記憶していたワタシはやはり残念だった。

2.05.2013

嗚呼筆記用具(其の弐)

そういえば最近、冬の間寒さで固まっていた自転車のギアチェンジが再び出来るようになった。春が一歩、また一歩と身近に感じられるようになるとペンがない、筆記用具が高いと文句を垂れていたのが遥か昔の出来事に感じられる。

新学期が始まる頃の本屋ではノートの類がきれいさっぱり売れ切れていて、在庫切れ。見事にすっからかんになった棚の前で、どこか東の国で起こったであろう出来事に、しかもこの2012年に先進国であろうデンマークで体験出来るなんてと半ば関心すらしていたが、渡欧半年も過ぎると予防線を張るというか、変に「期待しないこと」が上手くなり、日本スタンダードな商品に巡り合えるとラッキーと思えるようにまでなった。まぁそんな機会はまずないのだが、ショックを受ける回数は減った。人間の自己防衛機能とは良く出来ている。

以後、未だに高いとは思いつつも仕方なく それなりの4穴のノートを見つけるも、穴の開け方が雑なのか、刃が鈍いのか、スムーズにページがめくれたことはなく、割と頻繁にストレスにさらされている。ワタシは次のページに進みたいだけなのに。そしてあれこれ試しているつもりだが、ペン探しの旅は終わらない。こちらで安く手に入るペンは0.6mm、0.7mmと若干太めで漢字なんて書けない(そもそも書く機会もないのだが)。日本からこちらに持ってきた細めのペンも一本、また一本となくなって行くが、買い足したペンでアンダーラインを引こうなら無残にも裏ページが滲む。ワタシの辞書の紙質が悪いと言えばそうなのだが、全くをもってデンマーク語を勉強しようと思えないのだ(おっ、上手くまとまった)。

しかし年明けのスーパーでどう見ても フリクションとしか思えない “Magic” Erasable Pen なるものを発見。これは荒れた北欧文房具砂漠に咲く一輪の花とばかりに買い求めたが、しばらくキャップを外しておくだけでインクが出づらくなったりと、言いたいことはかなりある(が、悔しいかな、一番のお気に入りだ)。こちらの筆記用具に慣れるまで、思ったより時間がかかりそうだ。


今まで試したA4は罫線が28と34の二種。あらかじめ穴をほぐしページをめくることをようやく覚えた2013年の春。最近はチェーン店のBog&ideの商品(で諦めている)に落ち着いている。