7.30.2012

On Flight


渡欧に際して

今回の渡欧に関し、頭を悩ませたのが航空券である。
シェンゲン協定国90日のビザなし入国はクリアしていても
以前ヨーロッパで購入したチケット(日本-欧州間)の復路分しか持っていなかったのである。
それでも日本帰国のめどすら立っていなかったので
買い直すことなく、そのまま強行入国した。

という響きは悪いのだが、入国時には婚約者の情報、
婚約者が移民局にこの件に関して問い合わせたメールのコピーとその英訳、
そして帰る気になったらいつでも航空券くらい買えますとの銀行残高証明を
事前に準備しておいたし、まとまった金額の現金もあった。
出国時の航空会社カウンターでもその旨は説明した。

ドキドキの入国審査。知らないフリして団体旅行グループに紛れ込もうも
そんなグループはなく、明らかの個人旅行者。
審査官はパスポートを1枚1枚チェックしただけで何も聞かれることなく欧州入りを果たした。
今までで一番簡単な入国だった。

今回の渡欧、1日弱で4便を乗り継ぎデンマーク入りを果たした。
長距離フライトでは隣の席が空席だったので、リラックス出来たとはいえ
大荷物を抱えてのフライトは今回で最後にしたいと切実に思った。

7.22.2012

Prologue (其の弐)


 
ワタシはデンマーク人と結婚するに当たりデンマーク語(以下デンマ語)と向き合わなくてはならなくなった人間である。北欧語でもノルウェー語(以下ノル語)とスウェーデン語は比較的容易な言語と言われているが、デンマ語に関しては話は別らしい。

デンマーク滞在歴3日の渡欧前の個人的主観としてのデンマ語は、発音は口にジャガイモを突っ込んだまま話された訛りのあるドイツ語に聞こえ、視覚的にはうろ覚えのノル語であった。北欧語なんて英語とドイツ語とのミックスだろう?とタカを括っているワタシはそのうち痛い思いをするであろうが、ワタシには奥の手があるのである。

デンマークこそ今年まで行ったことがなかったが、ワタシには一年ノルウェーで過ごした経験があるし、ドイツにもいたことがあるし、ドイツ滞在時には何とデンマ語を受講していたことがあるのだ(えっへん)。だから何だ?と思われそうだが、隣国同士言語が似ていないと言えば嘘になる。デンマ語の表記はまるでノル語だし、発音もそこまで違うわけではないのだから(ノル語の発音はスウェーデン語のそれに近い)。だからノル語と英語とドイツ語の知識を総動員すれば何とかなるであろう。ある程度は。

まぁ、そんな過去の遺産の上に胡坐をかいていても言語は上達しないので、渡欧が決定してから3週間程度だが、数冊のテキストはこなしてみた。それらの感想は後程アップの予定だが、渡欧後どれだけデンマ語をモノに出来るか、お手並み拝見ってトコかしら。ってか、プロローグって分けて良かったっけ?

7.16.2012

Prologue (其の壱)




ワタシはデンマーク人と結婚するに当たりデンマークに引っ越してきた人間である。
初回のデンマーク滞在は3日間。来訪2度目が移住目的である。そして移住の準備期間はわずか1か月半(ヒャッハー)。

仕事は辞めた直後だった為、引越しと言う私事に専念出来たが、自分の城であった一人暮らしのアパートを引き払うのは、決して心躍るイベントでもなかった。アパートを引き払い海外への引越すのはこれが初めてではなかったが、今回は実家へ戻らずの直接移住だった為、思い出したくない労力を伴った。

日本を離れるに当たり、事前に将来必要になりそうな書類を集め、国民年金、健康保険、税金、戸籍関連、金融関連、移転届の提出等の絶対必要な手続きをこなした。そしてアパートの解約、渡欧のフライトの変更、欧州内移動のチケットの予約、携帯電話の解約、ジム・ガス・電気・水道・ネットの解約、保険金払い戻しの手続き、アパートを退去した後の出発までの宿の確保、空港へのスーツケースの輸送等の手配を完了させた。後は所持品を振り分け、発送・処分するのみとなったが、これには最後まで泣かされた。

デンマークへの荷物は船便で送った。一度にまとめて送ると安くなるのは知っていたが、
小さ賃貸にそのダンボールを保管する場所があるわけもなく、パッキングが終わる度に発送した。小型の生活家電などオークションで売れるものはオークションで売り、家族・友人に譲れる物は引き取って貰い、それ以外の家具・家電は見積もりを取った上で、地元のリサイクルショップ数社に買い取って貰った。結局料金を払って処分した物は冷蔵庫、ベッド、大型の机、寝具のみに留まった。大量の本は自分で持ち込めなかったので、図書館へ寄付した本以外の洋書は買い取りに来て貰った。換金目的より、ワタシの手を離れてもまた使って貰いたかったので純粋に嬉しかった。残ったもののほとんどは実家に送った。ワタシも物を捨てられない人間だが、このDNAは間違いなく両親から譲り受けたものである。

アパート引き払い前々日は徹夜でスーツケースをパッキング・空港へ発送し、実家への荷物をまとめ、アパートの掃除をした。その甲斐あって契約時に提示された最低限の清掃料以外の料金は請求されなかった。敷金・礼金なし物件だったので、嬉しい誤算であった。

友人が提供してくれた宿泊先でリラックスした後、空港でジャスト23キロのスーツケースを受け取った。この渡欧で地球を1周半したことになる。もうお役目放免だろう。チェックインを済ませ機内に乗り込んだ。

離陸準備時には職員が作業している様子を眺めるのが好きなのだが、彼等が手を振ってくれているのを見て思わず涙した。このサヨナラは今までのそれとは別の意味を持っていたからだ。